大竹愼一



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[-] 1. 残念なお知らせ

Wikipedia に気になる情報が:

意外な事に、関東系暴力団との距離が近い。セミナーや講演では、経済の分析を普通
に行うが、問題は、資金集めが絡むケース。2000万円の顧客からの海外送金が、
大竹ファンドに「入金されない」ケースのほか、私募債を集め、数年後に破綻するケー
スが複数発生(アイ・プランニングなど)。また、起業で大々的に集めた出資金が
10分の一になって戻るケースなど、資金集めが絡むケースでは、理解しがたい事が
起きている。数年経つと、資金が戻らない、いわゆる「計画倒産」的なケースが、相
次いでいるわけだ。これらは、大竹氏が関東系の暴力団と近いことが関係している可
能性が考えられ、いわゆるシノギの可能性がある。こうした危惧は、大竹氏の関連ス
タッフ(投資レター・セミナー)も、持っていて、暴力団との距離の近さから、関連
ビジネスが立ち往生するのではないかと、スタッフまでもが心配している。

消される可能性も考えられるのでここにコピーしておきました。

大竹さん、あなたもですか。

さんざん権力や不正を告発していましたが、あなたもですか。

ウツミ屋証券だったかが募集した大竹ファンドは潰れ、

何百億円も運用しているとの大竹ファンドも、全く開示も大株主情報にも現れず。

「私は知らない」などと言い逃れしないですよね?

バス(=ファンド。大竹氏自身がファンドをバスに例えた)の運転手とは、 船の船長でもあります。 船長は船の最後まで責任を取るべき存在です。

その程度の人でしたか…。

[-] 2. 劇薬注意

大竹氏の本を読む際、気をつけること、 それは、氏は日本への批判が多いが、バランスを取る必要があることだ。

[-] 3. 2017欧州発世界恐慌 暴走するマネー恐慌化する世界

大竹氏の新著。 色々反論もあるけれど、60%ルールに則り、買って読んでみた。

結果は、やはり、価値がある、と言える。

[-] 3.1. 僕が反論したい点

備忘として僕が反論したい点をまず挙げておきたい(この著作への反論だけではない):

  • プーチン・トランプを悪人と捉えている点
    • 格差社会に取り残された人々の怒りを掬い上げている、という点では 氏も認めている。
    • M誌などを読んでいると、プーチンは、西側の死の商人に対抗している、 とも見えるのだけど、どうだろうか。
  • エネルギーとしての水素はやはり消えていくのでは。
    → エネルギーとしての電子が有効と僕は考えている。 もちろん、蓄積の問題はまだあるのだけれど。
  • もうかなり前の氏の著作だけれど「技術が科学に追いついてしまった」 と言う発言があったけれど、層の理論から言って、これは理論的にも間違っている と僕は考えている。

[-] 3.2. メモ

  • ナポレオンは地方の農村の支持を受けて権力を握っていった(p.23)
    • プーチン・トランプ・ルペンの台頭の歴史相似象。
  • ロンドンの不動産市場に暴落の嵐が吹き荒れている(p.63)
  • ポンドとユーロは逆に動く(p.76)
  • イギリス人女性は…イギリス人男性以外は男と考えていない。(p.98) 日本人を犬としてい見ていた(p.99)
  • 人為的な通貨量の変動を任せられている中央銀行こそがすべての悪の元凶なのだ(p.123)
    • 中央銀行をどうみるか、大竹氏と増田氏では意見が割れていたのだけど、 とうとう、大竹氏の発言も固まった、と言える一言!
  • ビットコインは…支払い手段として非常に便利である。 これを価値・蓄蔵手段として考えると危ない。(p.137)
  • 資本の論理は、禁欲的でさえある(p.208)
    • 欧米の CEO が何十億・何百億もの報酬を得ようとするその 欲の根源を「原罪からの救済」とする見方
  • カネが動いて、その結果、モノがつくられる(p.209)
    • 大竹氏の言うマネタリスト的視点の意味が、やっと分かってきたような気がする。
  • K(資本)とL(労働力)をつぎ込み、それで生産関数を見て、 数値を上げることができれば、さらにつぎ込む。 生産関数を上げずにKとLをつぎ込めば過剰になる。 …そのまま突っ込んでいけば、増水は堰を圧し、ついにはダムは崩壊する。 (p.210)
    • 落合莞爾氏の講義でも言われていた、経済学の基本。 やっと僕にも理解できたような気がする。

[-] 4. 大竹セミナー 2015/04/15

5年ほど前のセミナー参加を最後に、SFCG の件があり氏からは遠ざかっていたのだけど、 ここ2年近い株価上昇で、氏の見通しを聞きたくなった。

[-] 4.1. 背景

ITバブルでいい気になっていた頃、氏から 「この上昇は完全にシロウト相場」とバカにされ「すぐに痛い目にあうだろう」 と警告を受けていたにも関わらず、 僕は暴落を想定したアロケーションの変更を怠っていた。

で、そのとおりに痛い目にあったのだった。 血は見たけど、瀕死の重傷には至らないレベルで済んだのだけど…^^;。

リーマン・ショックを半年前に警告していた氏の洞察力も記憶に残っている。

だから、氏の警告は傾聴に値すると思っている。

そんなところに氏のセミナーのダイレクトメールが来た。

今がどれだけ危険な時期かを警告する内容だった。 ITバブルやリーマンショックを連想する僕としては 聞かないわけにはいかない。

…で、仕事との調整も付く時期だし、参加してみた次第。

[-] 4.2. シェールガス・米国経済・中国経済・アジア経済・AIIB

シェールガス・米国経済・中国経済・為替・AIIB など、 話は多岐にわたる。

筋は通っていて、ためになったと僕は思っている。

アジア経済にちょっと興味があって質問したのだけど、 回答は世界情勢の一環から、慎重な回答だった。

うん、これはこれで参考になると思った。

[-] 4.3. 太陽光発電について

他の節で書いたけど、「氏の太陽光発電に対する見方は ちょっと遅れてないか?」と僕は思っているので、 これについても質問させて頂いた次第。

で、氏の回答は太陽光発電の問題点の1つ(補助金)に集中していて、 それはそれで正論ではあった…。

ただ、延々とハイテクをバカにし続けている大竹氏が マイクロソフト株を持っていたり、 「ウォールストリート流合理的株式投資の考え方」に自ら書いてあるように オフィスへのパソコン導入を上司に進言しようとしていたり、 日産の何度目かの危機の時に来たカルロス・ゴーン氏を 「官僚的フランスの会社に何ができるか」と批判していたのを大いに外したり(*) 氏の意見は全体のバランスを見た上で評価する必要があるのはいつものことだと思う。

((*) もちろん、ゴーン氏が日産を復活させた後、2009年にまた危機が訪れるわけだけど、 これは別のストーリと考えるべきかと思っている。)

で、太陽光についても、

  • ドイツとの比較
  • エネルギーミックス
  • 2015年、原油が下がっただけで GNI が 3% も上昇するほどの石油依存社会からの 脱却( http://blogs.yahoo.co.jp/takenaka1221/19904885.html )
    • → 石油への依存を太陽光によって減らしつつ、太陽光のまだ高い発電コストを 下げる

…という文脈で考えれば、今から投資する価値はやはりあると思うのだ。

もちろん、確信はない。 大竹氏が高笑いするか、私が安堵するか(高笑いはしたくないのだった^^;)、 しばし勝負が続くことになる…。

[-] 4.3.1. ジム・クレイマーの見解

(2015/05/15) まだジム・クレイマーの"ローリスク"株式必勝講座を 全部読んでないのだけど、「これだ!」と思わず(心の中で^^;)叫んだ一節があったので、 ここに記す。

ソーラー・パネル製造事業は、当面、嫌われ者の状態が続こうが、長い目で見れば絶対必要な、
代替エネルギー関連事業だ。ソーラー・エネルギーを支える技術は、非常に効率的になってきて
おり、ソーラー・パネルの投資回収期間は短期化してきている。
p.303

「嫌われ者」とは、ちょうど半導体DRAMと同様、年々価格が暴落していく分野、 ということだ。しかし、僕がいつも言っているように、これは 「製造業の地獄・ユーザの恩恵」なのだ。

そして、投資回収期間は既に日本では10年前後にまで短くなっているのだ。 これは、「太陽光のテイクオフ前夜」と言って良いと僕は思っている。

大竹氏の「欠点の指摘だけの論調と投資と詐欺のすり替え」 とは全く違う見解をジムから聞けたのは嬉しかった。

[-] 5. 中国崩壊で日本はこうなる

時々無性に本が読みたくなり、最近(2015/04)衝動買いしたうちの一冊。

値段分の価値はあった。大竹氏の名前に惹かれて買ったのだけれど、 この本の主役は共著の宮崎正弘氏だ。

完全に大竹氏はサブとなり、時々コメントするにとどまっている。

それだけの頭脳が宮崎氏にある、ということだ。

宮崎氏の発言は僕には全く違和感なかった。 理知的で冷静で、それでいて奥深い。

氏も、僕の先生の一人となっていただけた、と言える。

[-] 5.1. 香港雨傘革命

2014年に起こった香港雨傘革命、バックに誰がいたか(あるいはいなかったか) 色々な説が飛び交っていたけど、 宮崎氏がかなり具体的に理由も添えて指摘されていた。

これは参考になる情報だった。

[-] 5.2. 反・陰謀論

僕が宮崎氏・大竹氏を一定以上に(S氏以上に)信頼するようになったのは、 本書の中にあるお二方の「反・陰謀論」を読んでからだった。

僕は、陰謀はあると思っている。

しかし、それは個別に検証していく必要のある話だとも思っていて、 陰謀論者がすぐにある出来事を特定の個人や民族に移し替えて声高に叫び始めるところから、 胡散臭さを感じてしまうのだった。

[-] 5.3. 南京大虐殺

興味深かったのは、宮崎氏が明確に「南京大虐殺はなかった」と言っている点だ。

従軍慰安婦問題が退潮していくなか、 南京大虐殺は次の争点ではあった。

これまで、右寄りの人がしきりに同じことを言っているのを知ってはいたけれど、 どうも論拠が弱く、また、弱い割にはすぐ飛躍して相手国の罵倒がはじまる次第で、 僕は信用できなかった。

だけど、宮崎氏のそれは違った。

詳細は本書第8章を参照いただくとして、僕の認識もぐっと深まったことは確かだ。

残念ながら、大竹氏の反論はなかった。

[-] 5.3.1. 戦争論における大竹氏の立ち位置は変わらざるを得ない

大竹氏は「ウォールストリート流合理的株式投資の考え方」の 補章「神々の戦争と日本」で金子光晴の「天邪鬼」を引用し、 旧日本軍の蛮行に触れている。

しかし、この点は大いに誤っている、と僕は思う。

アメリカによる日本本土への空爆や原爆投下こそ、非戦闘員への蛮行なのだけど、 大竹氏はそのことには触れず、旧日本軍の蛮行だけを取り上げている。

しかも、南京問題や従軍慰安婦問題から薄々分かってくるように、 本当に金子光晴はその蛮行を見てきたのだろうか?

僕には今の所結論はないけれど、 ここは大いに留保したいところである、と記しておきたい。


僕は、安易に氏を批判したいわけではない。 株式投資を通じて氏の世界観を構造的に捉え返したいわけだ。

氏の「ウォールストリート流合理的株式投資の考え方」は 1991年初出なのでもう24年も前の本となるけれど(2015年時点)、 今読んでも面白い名著だ。 この時点で予測したドイツの台頭・イスラムとの21世紀など、 重要な指摘は今でも輝いている。

[-] 6. 「2015世界恐慌の足音が聴こえる」

久々の氏の本。

推奨していたSFCGが潰れしばらく沈黙を強いられていたのだろうか…。

そんな氏が。2年ぶりに出版した。

当初、「どうせ良い情報などないのでは」と疑っていたのだけど、 そんなことはなかった。

傾聴に値する部分も多く、60%ルールに則り、買ってよかった、と思っている(^_^)/

[-] 6.1. マネーサプライは出すが金利を上げる

低金利がいいのか上げるのがいいのか。

マネーサプライの供給がいいのか悪いのか。

氏の結論が興味深い:

マネーサプライは大量に出すけれども、金利を上げる(p.23)

この処方箋を説いた人は僕の知る範囲の中にはいなかった。

金利を2%に(それ以上でも以下でもない)上げるのが氏の持論だ。 自然金利という概念だそうだ。 資金の調達コストから自然と最低でもこれくらいの金利が必要とのこと。

なんとなくだけど分かる気はする。

[-] 6.2. アメリカ失業率と経済の関係

氏は、失業率のJカーブを援用して、失業率が下がり過ぎることを懸念する。

一線を超えると危ない、というのだ。その一線とは p.87 に書かれているのだけど(^_^)、 興味のある人は↑から購入されるといいかもしれません(^_^)。

これもまた興味深い視点だ。

[-] 6.3. 中国経済

中国経済は底を打ったと説くのが、管見の限り、U氏・S氏・I氏。

これだけ揃えば、「やはりそうかぁ」と希望を抱いたりするのだけど、 大竹氏は逆だ。

問題は、その理由だ:

  • バランスシートで見れば最悪であること。
  • 大量の共産党エリート層が国外脱出を行っていること。

氏は、中国崩壊の先行指標を具体的に示している(p.153)。

僕も、注意して見ておきたい。

[-] 6.4. 焼け野原の中、株を持つ。

氏の言う「日本が焼け野原」「日経平均4000円」は冷静に受け止める必要がある。

それは、氏自身の以下の言葉にも現れている:

現在は25%ぐらいをキャッシュにし、…株式であればバリュー株にポートフォリオを
移す p.231

また、氏は別のメディアでの発言だが、「全額現金化する必要はない。 4割くらいで良く、私は6割はまだ株で持っているし、これから買おうとも思っている。」 とも言われている。

買う銘柄の選定は厳しく行う必要はもちろんあるけれども、 また、25%か40%かの違いはあるけれども、これが実際のところなのだ。

焼け野原と言っても、60〜75%は株で持っていて良いレベルであることを 理解しておく必要がある。

[-] 6.5. TPP

氏は、僕の読む書の中では珍しく TPP 賛成派だ。 しかし、その理由は若干異なっている。 氏の論点は、「国にぶら下がって生産性が低いままに甘えている農家の 排除」にある。

これに反論できる人はいるだろうか?

残念ながら、TPP反対はのU氏の論はその点、説得力が弱い。

[-] 6.6. カール・ポランニー

本屋の立ち読みでパラパラとページをめくった時に「カール・ポランニー」 という文字が目に飛び込んできた。 思わず買った理由がこれだった(^_^)/

氏が経済人類学者カール・ポランニーを取り上げている。 これだけで読む価値はあった。

…と思ったのだけど、あとがきのほんの数ページでは物足りないなぁ(^_^;

[-] 6.7. 推奨銘柄

本文中や最後に幾つか推奨銘柄がある。

C社については僕もかなり前から買っていて、一応値は下がってない(^_^)。

I社、氏は何年も前から推奨していてその時に買ったのだけど、 その後かなり下がってしまい、損切りした後忘れてしまっていた。

氏がまだ推奨しているので株価を検索してみると、驚いたことになっていた。 うーん、watch しておけば良かった(^_^;。

[-] 6.8. 大竹氏に反論したい点

この節では、僕が敢えて大竹氏に反論したい点について書く。

[-] 6.8.1. IT、追うべきか追わざるべきか

氏は IT 嫌いをことさら強調されるのだけど、 これも注意しないといけないのは、 氏もITの評価をしている面があるということと、氏もIT銘柄を幾つか持っている、 ということだ。

要は、氏の言葉だけを真に受けて IT に投資しないのはもったいないということ。

氏の論点をまとめると以下となるだろうか:

  • ハイリスクでどの企業が有望かとても難しい
  • バリュー株でない(氏はバリュー株をとても重要視している)。
  • 成長株は今後難しいと見ている。

でも、これもまた割り引いて理解しておく必要がある。なぜなら、 氏は以下のように IT を評価してもいるのだから:

  • 「ITに仕事を奪われ所得を減らしている中間層」(p.90)
    • このことは、裏を返せば、IT が生産性を上げた結果、同等の生産物に対する 人の寄与が要らなくなったことを大竹氏も認めていることを意味する。
    • 人の仕事を奪っていることだけを見て IT を感傷的に反発するのは間違っているので, 念の為触れておきたい。
  • (ビットコインは)…はるかに面白いものが登場してきたと考えている。(p.200)
  • ITがアメリカの生産性を高めている、という論をどこかの本で語っていた (要出典)。
  • 他の著書だったけど、氏はマイクロソフト株は持っていたな。
  • 氏も、VISIO社に注目していた。 VISIO は高質のソフトウェアを作っていたので、僕も注目していたのだった。

[-] 6.8.2. 日経平均 15,000円は高い?

[-] 6.8.2.1. 食い違う主張

氏は、日経平均 15,000円は高いと言う(p.239)。1万円が妥当であり、 この先焼け野原になって 4,000円になる、と言う。

他方、U氏は理論値を示し、まだ安値圏という。

どちらが正しいか。

[-] 6.8.2.2. 根拠

U氏の根拠は、収益還元法、つまり利益と利率だ。 つまり、日本がをこのまま維持できるかどうかにかかってくると思う。

大竹氏の根拠は、

  • M3の低下
  • 日本の技術優位性の低下
  • 日銀の愚策
  • 無能政治家&既得権益を死守する官僚
  • 電力料金問題
  • 高い人件費

を挙げる。

つまり、共通のベースに立っての議論がなされていないのだ。

僕は、氏の日本批判は(正しいけど)一面的だと常々思って来た。

日本人がそれほど愚かなら、なぜ後進国・衰退国に甘んじないのか …この面にもっと光を当てるべきではないか、そう思っている。

もちろん、氏が間違っているわけではない。 そうではなく、+/- 天秤にかけないといけない、 成長の芽にもっと着目しないといけない、ということだ。

日本が焼け野原になる前に既に新芽があちこちで芽吹いてきている …そんな状況を僕は想定している。

大竹氏の日本論については若干疑問を持っている。

[-] 6.8.3. 水力 vs 太陽光 vs 石炭火力 vs 原子力

あんなに高くつくエネルギーは駄目に決まっている(p.106)

ちょっとだけだけど反論したい(^_^;

まずは、発電方法の比較:

原子力は廃炉時に天文学的コストがかかるので、大竹氏と同様、ここでも論外。

で、安いと言われる石炭に比べ、太陽光はまだ4倍する。

しかし、(売電価格 36円/kw ではあるけど) 約10年で出資金を回収できるまでに安くなっているのも事実だ。

2006年、太陽光に興味があり見積もりをとってもらった資料が手元にある。

三洋製 3.2kwパネルで 226万円。売電価格 26.25円/kw。 元を取るのに20数年かかる^^;

それが、2012年になると 3kwパネルは補助金含め 100万円程度で建ち、 売電価格が 42円/kw。元を取るのに計算上は8年となった。

たった6年の経過で、実に3倍の効率アップだ。 もちろん、売電価格の増額が寄与しているのは否めない。 しかし、この後20年も経てば、さらに3〜10倍の性能アップも期待できるのでは ないだろうか…。

いや、仮に現在の性能のままであっても、 土地・造成・架台が既に用意されている環境であれば、 半額の資金で同等の電力を発する。つまり、21円/kwでも8年で元が取れる計算になる。

また、電子素子の価格は数年で半額になることはザラだ。 なので、同程度の発電性能のパネルが半額で手に入ると期待できるなら、 10.5円/kw でも8年で元が取れる計算になる。

石炭並の安さにまでなる可能性は十分考えられる (あるいは、 石炭並の単価になっても十分ペイできるまでに性能アップする可能性は十分考えられる) ということだ。

[-] 6.8.3.1. 太陽電池には、直接のエネルギー変換という強みがある

石炭・石油は太古の昔に太陽の恵みで成長し・化石となった木を原料とする発電だ。

水力は、太陽光によって蒸発した(=エネルギーを吸収した)水分が 空中で冷やされて再び地上に落下する過程で放出する位置エネルギーを 電気エネルギーに変えるもので、間接的に太陽エネルギーを利用するものだ。

当然だけど、エネルギーロスは間接的であるほどに大きくなる。

一方、太陽電池は、太陽光エネルギーを直接半導体の力を借りて 電気に変換する仕組みで、最も直接的で安定的だ。

パネルの製造コストさえ解決すれば、やはり僕は、太陽光が有望だと思う。

もうひとつの太陽光の欠点(安定しない・夜間発電できない)を補うものとして、 蓄電技術に期待したい。

こちらはまだ有望な技術が見えてこないけれど、 密かに量子電池が激安になることを期待している:

[-] 6.8.3.1.1. (2014/11/03) 化石燃料使用による地球環境への悪化が深刻化

石炭・石油の化石燃料使用による地球環境への悪化が深刻化している ニュースが報道された (NHK BS1 BBC放送)。

氏の p.105〜 を読むと、一応環境問題に慎重でありながらも まだ石炭に有望性があるとしている。

要 watch だ。

[-] 6.8.3.2. メーカの苦戦はユーザに恩恵
高コスト問題が解決できず、…いまは手の打ちようがない。
…シャープや京セラも痛い目に遭っている。(p.107)

コストについては、実用(=10年でペイできるレベル)の値段にまで下がってきている。

そして、この値下げ競争は、メーカには厳しい戦いだが、ユーザには福音だ。

これはちょうどコンピュータの劇的な値下げ競争と同じだ。 価格が劇的に下がり、多くのコンピュータメーカが消えていった。 DEC, COMPAQ, Gateway, IBM(PC部門がレノボに買収), …。

これはもちろん、ユーザにとっては苦戦ではなく恩恵なのだ。 今や、わずか数万円で20年前のスーパーコンピュータと同性能のものが買えてしまうのだ!

同じ理屈は、太陽光パネルにも言える。 パネルメーカは大変だが、ユーザにとっては安く発電できるのだから。

…欲をかく愚かな日本人は、太陽光発電を巡る、例の安愚楽牧場のような詐欺話に
簡単に引っかかるのであろう。(p.107)

大竹氏には失礼ながら、この指摘は的はずれだ。 理由を2つ挙げたい:

  1. 愚かなのは、日本人に限らない。
    • 人類は皆、愚かであり素晴らしくもある。 その発現形態が異なるだけだ。 オランダのチューリップ・バブル、 南海泡沫事件、 ITバブル、… 「愚かな日本人…」といった類の氏の物言いは、 非常に偏っていると僕は思っている。 紳士な日本人はムキになって反論しないだけなのだ(^_^)。
  2. 太陽光が詐欺話かどうかは、まず少なくとも氏は 20%間違っている。 なぜなら、僕は既に投資の20%を回収できているからだ(2015年10月時点)。
    • 詐欺話も中にはあるだろう。ありもしない投資物件やペーパー商法で、 現場には発電所などなかった、ということであるならそれは詐欺だ。 しかし、僕は幾つかのファンドを比較し、現場を見学し、 後はお天道様に祈るだけまでは調査して "GO" したのだった。
    • この先、大竹氏が勝つか、僕が勝つか、残り9年かけての勝負となる。 乞うご期待!
[-] 6.8.3.3. 余談

韓国の電力が日本の半額以下なのは、石炭 + 原子力 + 政治力、とのこと ( http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1903G_Z11C13A1FF2000/ )。

[-] 6.9. BSの見方(p.214)

経理は僕はシロウトだけど、氏の熱の入った解説は勉強になった。

[-] 6.10. TODO

以下は、僕の抱いている疑問だけど、強く大竹氏に反論も出来ない箇所。

氏に質問するか、勉強したい所:

  • p.102 ナスダックが弱い??
  • p.210 絆 vs 親鸞の結 は正しいか?
  • p.215 SB、ユニクロ(ファーストリテイリング)批判はあたっているか
  • p.233 3本足打法は適切か
  • p.207 「おおよその日本人投資家…は今日明日のことしか見ていない」 と、増田氏の見解の相違は?

[-] 7. 「投資は頭だ」

[-] 7.1. **章「経営者を採点する」

大島氏・木村氏を採点しているのだけど、この章には疑問が残る。

まず、後付けだ、ということ。

大竹氏はずっと大島氏の SFCG (旧商工ファンド) を支持していた。 古い体質の今の銀行をさんざんに酷評し(これは僕も同意なのだが)、 次世代の金融機関として SFCG・セブン銀行・ソニー銀行等を評価していたのだ。

しかし、その SFCG は破綻した。

自ら「君子豹変す」ることもある、と言ってはいた。 そして、その事例として「ダビンチ・アドバイザーズ」は的を得ていた。 ダビンチを評価し、そしてその後のバブルで売りきったことを明言し、 そしてそれはタイミング的には的確だった。

しかし、SFCG はどうだろう。

SFCG破綻の理由を、「彼は私の助言を聞くのが半年遅すぎた」と言っていた。

それだけなのだろうか?それだけリーマンショックは突然だったのだろうか?

いや、大竹氏は既に1年以上前からアメリカの金融機関のおかしさを指摘していた。 だから、リーマンに大きく依存していた SFCG のリスクも予測でき、 従って売り推奨できていたはずなのだ。しかし、それをしなかった。

僕は大竹氏に大きな疑問符をつけざるを得ない。そして、そうしている。

(2011年6月)

[-] 7.1.1. 木村氏の評価の浅さ

この段落は、さらに輪をかけて駄文だ。 木村氏を、「日銀エリートは金融の世界を知らなすぎる。 ナニワ金融道の世界なのだ。」というレベルの(僕の嫌いな「評論」)で 後付け評価しているだけではないだろうか。

木村銀行の破綻にはもっと深い闇がある。 政府は、メガバンクには巨額の融資をしておきながら、なぜ何桁も小さな 木村銀行を破綻させたのか。

僕の予想は、ペイオフの実験台にさせられた、というものだ。

もし木村氏がこれを飲んだ上で破綻に至ったのなら、出来レース、 ということになる。

しかし、木村氏は逮捕される屈辱を受けるに至った。 ということは、やはり政府は木村氏を捨てたのだろう、ということだ。

木村氏は捨てられ、木村銀行はペイオフのモルモットとされた。 ...これが僕の予想だ。

大竹氏は事実を知らないはずはないと思うのだが、それには触れない。 そして、底の浅い議論を木村氏に向けただけだった。

僕は、大竹氏に対する大きく信頼を失った、と述べておきたい。






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